Arduinoでロボットを作ってみました!【5】厚紙で部品を作るPart1
部品製作用の材料
電池ホルダやRCサーボのホルダなど、専用の部品を作る必要があります。アルミ板で作るのが良さそうですが、板を金ノコで切ってバイスではさんで曲げるなど、結構大変な作業なので、今回は加工が楽な厚紙で部品を作れないか検討してみます。
今回使用した厚紙は、文具店なので売っている
"板目表紙5枚入 厚さ0.65mm"
厚さ0.65mmとありますが、ノギスで実測したら0.70mmでしたので、設計は0.70mmで行います。
材料の縦弾性係数(ヤング率)の測定
先ず、使おうとしている材料がどの程度の曲げ強度を期待できるかを知るために、縦弾性係数を測定してみます。
準備したサンプルは4種類
Sample1:紙の流れ目を横目で切り出し
Sample2:紙の流れ目を縦目で切り出し
Sample3:紙の流れ目を横目で切り出した2枚を木工用ボンドで貼り合せ
Sample4:紙の流れ目を縦目で切り出した2枚を木工用ボンドで貼り合せ
2枚を貼り合せる際には、
木工用ボンドで接着した2枚を平面で上下からはさんで、重しを掛けて24時間放置しました。このようにしないと、接着剤が硬化する過程で反りが発生します。
Sample3,4のような2枚を貼り合せたサンプルを準備した理由は、接着剤の効果で1枚ものよりも縦弾性係数を大きくできないかと期待したためです。
縦弾性係数の測定は曲げ試験で行います。
サンプルの上下をアクリルの板ではさんで、重しで押さえます。先端に糸を掛けて、袋におもりを入れていき、荷重と先端部のたわみとの関係を測定します。たわみは、おもりがない状態を基準として、おもりありの時のサンプル先端部の位置とおもりなしの時の先端部の位置との差を、その荷重でのたわみ量とします。
おもりは、手元にあり質量も安定している硬貨を使います。
1円→1g、5円→3.75g、10円→4.5g、50円→4g、100円→4.8g、500円→7g
実際に測定を始めたら、Sample1(横目1枚)の曲げ試験で、おもりを掛けてから時間と伴にだんだんたわみが変化したり、おもりを外しても0荷重に戻らない現象が見られました。
このように、Sample1は粘弾性体的な挙動を示すので、測定の際には、おもりを掛けたら3秒以内にたわみを測定し、荷重を変化する際には一旦おもりを取り払って、サンプルを0荷重位置に戻してから、荷重を掛けるようにしました。Sample2,3,4はほぼ弾性体と見なせる挙動でした。
測定した荷重-たわみ特性を示します。
次にこのグラフの傾きから縦弾性係数を計算しますが、Sample1については、たわみが大きい領域で線形性が悪くなってきますので、荷重で5.8g(1円1枚+100円1枚)までの測定値を用いて傾きを計算します。
縦弾性係数の計算
縦弾性係数は
で計算します。
当初期待していた、貼り合せることによる縦弾性係数の向上はあまり期待できなさそうな結果となりました。
横目2枚貼り合せでは、横目1枚のときに見られた粘弾性体的挙動を抑制する効果はあり、また、板厚の3乗に比例してたわみ難くなるという式にもほぼ乗ってきそうです。
縦目2枚貼り合せでは、板厚の3乗つまり8倍たわみ難くなるわけではなく、その効果は5倍程度でした。
こうして、測定された縦弾性係数ですが、他の材料と比較すると、アルミ :72GPa、アクリル:2.2~3.2GPa、CDケースや100均で売っている蓋付きケースなどに使われているポリプロピレン(PP):1.1~1.6GPa、ですので、板目表紙も使い方を工夫すれば、プラスチックと同等以上の曲げ強度で使えそうということが分かります。
最後に、荷重を増やしていって、どこまで曲げたら折れるか実験してみました。
ここまで曲げても折れません。予想以上に曲げに強いことが分かりました。
完成品の寸法精度を向上するための展開図と折り方